医療情報技師試験における、医療情報システム系の必須問題②について説明していきます。
医療情報技師試験 医療情報システム系の必須問題②
電子保存の3原則
医療情報システム系は、ガイドラインや○○原則といったものなどが多いです。ごっちゃになりそうですが、出現頻度の高いものはそんなに多くはありません。
今回は、電子保存の3原則(基準)について説明します。
これは、「電子カルテの3原則」とも言われています。
「電子保存の3原則」とは、カルテが電子化されるときに厚生労働省が定めたものです。「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」で明記されています。
非常に簡単に言いますと、こんな感じです。
真正性
正当な人が記録し確認された情報に関し第三者から見て作成の責任の所在が明確であり、かつ、故意または過失による、虚偽入力、書き換え、消去、及び混同が防止されていることである。なお、混同とは、患者を取り違えた記録がなされたり、記録された情報間での関連性を誤ったりすることをいう。
出典:「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」 厚生労働省
つまり、誰が書いたか、いつ修正したかがわかるようにしておけということです。
電子化する際に改ざんが容易になることからこのように決められました。
見毒性
電子媒体に保存された内容を、権限保有者からの要求に基づき必要に応じて肉眼で見読可能な状態にできることである。ただし、見読性とは本来「診療に用いるのに支障が無いこと」と「監査等に差し支えないようにすること」であり、この両方を満たすことが、ガイドラインで求められる実質的な見読性の確保である。
出典:「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」 厚生労働省
つまり、誰が見てもわかるようにしておきなさいということです。
特殊な人達しかわからなような状態でなく、患者さんとかもわかるようにしておくということです。
保存性
記録された情報が法令等で定められた期間に渡って真正性を保ち、見読可能にできる状態で保存されることをいう。
出典:「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」 厚生労働省
真正性と見読性を保った上で決められた期間保存しておきなさいということです。
私が思うにこの3原則は、医療事故があったときに、改ざんしました(真正性)・調査する人が読めません(見読性)・もうデータは無くなってしました(保存性)ということを防ぐためのものだと解釈しています。
過去問①
電子保存の3原則のうち「真正性」の確保に関係しないものはどれか。
番号を解答記入欄(5)にマークしなさい。
1)修正記録の保存
2)診療録の参照歴の保管
3)作成責任者の識別と認証
4)ネットワーク上のなりすまし防止対策
5)データ保存時のタイムスタンプ自動付与2013年 医療情報師能力検定試験 医療情報システム系 出題
答えは、2) です。誰がいつ書いたっていうことをしっかりとすることが真正性です。
選択肢の中で明らかに違うのは、参照歴の保管ですね。
過去問②
保存義務のある文書等の電子保存の3基準における要求事項に該当しないのはどれか。番号を解答記入欄(48)にマークしなさい。
1) 作成の責任の所在を明確にすること
2) 病院職員全員が容易に利用できる操作性を有していること
3) 法令に定める保存期間内、復元可能な状態で保存すること
4) 情報の内容を必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にできること
5) 故意または過失による虚偽入力、書換え、消去及び混同を防止すること2016年 医療情報師能力検定試験 医療情報システム系 出題
答えは、2) です。操作性は、医療事故の調査には必要ありませんね。
医療事故の調査に必要な決まりが、電子保存の3原則です。そう覚えておいてください。
過去問③
電診療録の電子保存の3基準を確保するために必須でないのはどれか。
1) 情報を暗号化して保存する。
2) 作成の責任の所在を明確にする。
3) 法令に定める保存期間内、復元可能な状態で保存する。
4) 情報の内容を必要に応じて用意に肉眼で見読可能な状態にできる。
5) 故意または過失による虚偽入力、書き換え、消去および混同を防止する。2014年 医療情報師能力検定試験 医療情報システム系 出題
答えは、1) です。
それでは、お決まりの医療事故が起きたと仮定して考えてみましょう。
暗号化していたら、医療事故の時に困りますよね。カルテは誰でも読めるが原則です。
最近もカルテは専門用語を使い過ぎないようにしましょうという風潮があります。
昔はドイツ語+医者の癖字で判別困難だったと聞きました。
出題頻度は?
3原則(基準)は毎年出ています。
超必須問題と言っていいと思います。
必ず覚えておいてください。
今回は、医療情報技師試験における、「医療情報システム系」の必須問題②でした。
お読みいただき、ありがとうございました。